カウンターの名手として知られる朝倉未来。
今回は朝倉未来のRIZINでのカウンターをヒットしなかったものも含めて集計、解説していきます。
- 朝倉未来のRIZINでのカウンターの種類、数、成功率
- 朝倉未来が多用するカウンター
- 朝倉未来の戦略的カウンター
- 朝倉未来の適応力の高さ
朝倉未来が多用するカウンター
今回、集計分析してわかったのは、朝倉未来は圧倒的に右フックのカウンターを多用します。
特に下がりながら顔を左に傾け右フックのカウンター。そこからコンビネーションに繋げるパターンも多いです。
それを軸に、相手や場面に合わせて他のカウンターを効果的に使ってることがわかりました。
朝倉未来、カウンターの種類・数・成功率
日沖発戦
日沖発戦は1R 3:45 で試合が決着したので朝倉未来が放ったカウンターの数は少ないです。
得意のバックしながらの右フックのカウンターが多く見られました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 2 | 2 | 0% | |
左ストレート | 1 | 1 | 0% | |
左ハイキック | 1 | 1 | 100% |
タックルに来た日沖選手に膝蹴り気味のハイキックが決まりダウン。パウンドでパンチを2発追加しTKOとなりました。
カルシャガ・ダウトベック戦
この試合は終始、朝倉未来選手が主導権を握り3-0で判定勝利しました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 5 | 6 | 11 | 45% |
左ストレート | 2 | 2 | 100% |
得意のバックしながらの右フックがよく出た試合でした。左ストレートを打つ時はバックしながらではなく迎え打つように打っています。
これは、ストレートは縦の動きなのでバックしながらだと威力が出ないためと思います。
リオン武戦
この試合では序盤、朝倉未来選手は珍しくオーソドックス(右手が前の構え)で挑みます。
2ラウンドに左膝のカウンターからマウントでTKOで決着しました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 2 | 3 | 5 | 40% |
左フック | 1 | 1 | 0% | |
左ヒザ | 1 | 1 | 0% |
この試合では、カウンターではないものを含めると左膝が3回見られました。
2発は右パンチのフェイントで相手が顔を右に傾けたところを左膝で迎え打つというパターンで朝倉未来選手が多用してる技ですね。この試合以外にもよく見られるパターンでした。
また、朝倉未来選手が言っていた「カウンターのカウンター」をねらっていると思われる場面がありました。
朝倉未来選手が軽い左ストレートを放ちリオン武がそれをかわしカウンターで左フックを放ちますが、朝倉未来選手はそれに右フックのカウンターを合わせました。
この時、朝倉未来選手は左ストレートを打ち終わるまで終始リオン武選手を見続け、カウンターをしてきたリオン武選手を待っていましたとばかりカウンターを合わせています。
これは完全に、左ストレートをオトリにカウンターのカウンターを狙ったものだと思います。
ルイス・グスタボ戦
この試合は乱打戦となり多くのカウンターが放たれました。
結果は3-0の朝倉未来選手の判定勝利でした。
集計結果は次のとおりです。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右ジャブ | ||||
右フック | 11 | 10 | 21 | 52% |
右アッパー | 3 | 3 | 0% | |
左ジャブ | ||||
左フック | 2 | 3 | 5 | 40% |
左アッパー | 1 | 3 | 4 | 25% |
左ストレート | 5 | 4 | 9 | 56% |
左ヒザ | 1 | 3 | 4 | 25% |
左ミドル | 1 | 1 | 0% |
やはり左ストレートのヒット率が一番高いです。
なおかつ左ストレートはジャストミート率も高かったので非常に効果的だったと思われます。
序盤フックのカウンターをメインに放っていた朝倉未来選手ですが、ルイス・グスタボ選手はパンチを打つ時、頭を下げて打つため、横の動きのフックは中々ジャストミートしません。
ここで、朝倉未来選手は縦の動きであるアッパーのカウンター狙いに切り替えます。しかし、これも中々当たりません。
終盤では、朝倉未来選手はノーモーションの左ストレートのカウンターを多く放ちます。これが面白いように当たり、以降このノーモーションのストレートを中心に放ちました。
矢地祐介戦
この試合は朝倉未来選手がローキックやカウンターで終始試合をコントロール。
3ラウンド終了間際にダウンを奪い、3-0の判定勝利をしました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 4 | 4 | 8 | 50% |
右ボディ | 1 | 1 | 2 | 50% |
左フック | 1 | 2 | 3 | 33% |
左アッパー | ||||
左ストレート | 1 | 1 | 0% | |
左ローキック | 1 | 1 | 100% |
これまでの傾向通り、右フックのカウンターが多く放たれた試合でした。
この試合では得意の、右ボディから左ストレートのコンビネーションがよく見られました。
ジョン・マカパ戦
この試合は朝倉未来選手のカウンターが決まりますが、ジョン・マカパ選手は驚異の打たれ強さでダウンすることなく判定になり3-0で朝倉未来選手の勝利になりました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右ジャブ | 3 | 2 | 100% | |
右ストレート | 1 | 1 | 2 | 50% |
右フック | 7 | 4 | 11 | 64% |
左フック | 2 | 2 | 4 | 50% |
左ストレート | 5 | 1 | 6 | 83% |
これまでの試合と比べると驚異のヒット率でした。顎やテンプルを撃ち抜いた場面が何度もあったにも関わらず、ぐらついた場面はあったもののダウンは一度もありませんでした。
朝倉未来選手もジョン・マカパ選手の打たれ強さには驚愕していました。
ダニエル・サラス戦
この試合は朝倉未来選手の左ハイキックからのパウンドで2ラウンドKO勝利。完勝と言っていい試合内容でした。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 4 | 4 | 8 | 50% |
右ボディ | 3 | 3 | 100% | |
左フック | 3 | 3 | 6 | 50% |
左アッパー | 1 | 1 | 0% | |
左ストレート | 2 | 2 | 4 | 50% |
高いヒット率でカウンターを決めることができた試合でした。
しかし、決め手になったのは左ハイキックでした。
この試合では二段蹴りやブラジリアンキックなど多彩なキックを見せました。
これらをミドルとハイで打ち分けることでダニエル・サラス選手も食らってしまったようです。
斎藤裕戦
この試合は3-0で朝倉未来選手の判定負けで、RIZIN初の白星となりました。
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右フック | 11 | 11 | 22 | 50% |
右アッパー | 1 | 1 | 100% | |
左フック | 1 | 2 | 3 | 33% |
左アッパー | 1 | 1 | 0% | |
左ストレート | 2 | 3 | 5 | 40% |
この試合では朝倉選手のカウンターよりも、斎藤選手の「カウンターのカウンター」が光った試合でした。
左ジャブのフェイントで朝倉選手得意の右フックのカウンターを誘い、それに対する左フック、あるいは右ストレートのカウンター。
このパターンがよく見られ、斎藤選手はかなり対策しているという印象でした。
実際、朝倉選手の右フックのカウンターはクリーンヒットが少なく、やりづらそうでした。
右フックのヒット数が多かったもののクリーンヒットは少なく、明確なダウンは左ストレートでのカウンターのみでした。
全試合の集計結果
種類 | ヒット | 非ヒット | 計 | ヒット率 |
---|---|---|---|---|
右ジャブ | 3 | 3 | 100% | |
右ストレート | 1 | 1 | 2 | 50% |
右フック | 44 | 42 | 86 | 51% |
右アッパー | 1 | 3 | 4 | 25% |
右ボディ | 4 | 1 | 5 | 80% |
左フック | 9 | 12 | 21 | 43% |
左アッパー | 1 | 5 | 6 | 17% |
左ストレート | 14 | 12 | 26 | 54% |
左ヒザ | 1 | 4 | 5 | 20% |
左ロー | 1 | 1 | 100% | |
左ミドル | 1 | 1 | 0% | |
左ハイ | 1 | 1 | 100% |
全試合通して、やはり右フックのカウンターが圧倒的に多く見られました。
試合を見ていてもこの右フックを中心に組み立てられています。
朝倉選手にかった齋藤裕選手はこの右フックの対策をよくしており、朝倉選手もやりづらそうでした。
続いては左ストレート、左フックが多かったです。
アッパーは右左ともに数は少なく、ヒット率も低かったです。
いかがでしたでしょうか。
朝倉選手はやはりカウンターが上手い選手で、ルイス・グスタボ戦では試合中にパンチの種類をいくつか変えるなど適応力の高さを見せましたが、斎藤裕戦では主軸の右フック対策をされ弱点が浮き彫りになりました。
分析力の高さで知られる朝倉選手、今後の対策をして更に強くなった朝倉未来が楽しみですね。
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