ボクシング、伝説の一撃7選【歴史に残る一発】

ボクシングにおいて、有名な試合、衝撃的なKOなど数多くの名シーンがありますが、今回はそんな中でも未だに語り継がれる”伝説の一撃”を紹介いたします。

目次

ボクシング、伝説の一撃7選

マニー・パッキャオ vs リッキー・ハットン

マニー・パッキャオvsリッキー・ハットン。
最初に紹介するこの試合は、2009年5月に行われ、数々の名試合を作り上げたパッキャオの試合の中でも、ベストバウトとして多くの人が挙げる一戦です。

ライトフライ級でキャリアを始めたパッキャオは、バレラ、モラレス、マルケスなどと対戦を交えながら階級を上げていきました。

2008年3月にマルケスを倒しスーパーフェザー級王座を獲得。同年6月にはスーパーフェザーからライト級に上げ王座を獲得。
12月にはさらに2階級上のウェルター級でデラ・ホーヤと対決しました。

実に9ヶ月の間に3階級も上げてのタイトルマッチとなります。
デラ・ホーヤはミドル級でも戦っていた6階級制覇の名チャンピオンで、デラ・ホーヤ有利の声が多く挙がっていましたが、パッキャオは8R終了時TKO勝利で引導を渡しました。

そして、1階級下げたスーパーライト級での試合の相手がリッキー・ハットンです。

ハットンもまた2階級制覇王者の名チャンピオンで、唯一の黒星はあのメイウェザーから喫したもので、スーパーライト級では未だに無敗を誇っていました。
この試合も、スーパーフェザー級が適正と言われていたパッキャオが不利と予想する専門家やファンも多くいました。

しかし、破竹の勢いのパッキャオはとどまることを知りませんでした。

試合会場はイギリスから英雄ハットンを応援するためにやってきた、熱狂的なファンの熱気と声援で埋め尽くされます。

試合が始まると、ハットンがをプレッシャーをかけます。
ガンガン前に出るハットンらしい戦い方です。

しかし、好戦的なパッキャオは脚を使いながら、負けずに打ち返します。
2分すぎに左でハットンをグラつかせると、右のカウンターでダウンを奪います。

このラウンド、パッキャオが何度も狙っていた右フックがついに炸裂しました。
しかし、ハットンはじっくり回復を待ってから立ち上がります。

ラウンド終了まで残り40秒、ハットンはガードをせずクリンチで逃れようとしますが、パッキャオの猛攻に耐えきれず倒れ込みます。
またしてもじっくりと回復してから立ち上がり、ゴングに救われます。

1Rから全力の2人に会場は大いに沸きます。

2Rが始まると、2回のダウンを奪われているハットンが前に出ます。
勇敢な英国人に守りという選択肢はありません。

しかし、パッキャオは冷静でした。細かいバックステップで距離を取りつつ、コンパクトなパンチを当てていきます。

徐々にパッキャオがプレッシャーを強めていき、残り10秒の拍子木がなった次の瞬間でした。

やや左にステップしたパッキャオの渾身の左が、ハットンの顎にカウンターでヒット。
力なくキャンバスに倒れ込んだハットンは、天井を見つめたまま失神しています。

その様子を見たレフェリーはTKOを宣告。ハットンはその場でしばらく意識朦朧としていました。

この試合はWBCの2009年の「KO・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、ハットンはこの2年後に1試合して引退することになります。

角度、タイミング、全てが完璧な形で決まった、世界を驚愕させた一撃でした。
そして、パッキャオはここからさらに伝説を作っていくことになります。

セルジオ・マルチネス vs ポール・ウィリアムス

続いては2010年度のリングマガジン ノックアウト・オブ・ザ・イヤーに選ばれた、セルジオ・マルチネスの衝撃的な一撃
です。
この一撃は、2010年11月に行われたセルジオ・マルチネス vs ポール・ウィリアムスの試合で生まれました。

2人の戦いは約1年前から始まります。ノンタイトルの初戦は接戦の2-0でウィリアムスの判定勝利。
判定が発表された瞬間、マルチネスは納得のいかない様子で顔を横に振ります。

その1年後、マルチネスのWBC世界ミドル級タイトルをかけて組まれたのがこの試合です。

これに勝てばマルチネスは雪辱のリベンジとミドル級初防衛、ウィリアムスにとっては3階級制覇。
どちらも負けられない戦いです。

試合が始まると両者、1Rからジャブの差し合い、積極的に打ち合います。

そして2R、1分が過ぎようとしたその時でした。
やや右にステップしたマルチネスのオーバーハンド気味の左がカウンターでヒット。
顔と身体を右に傾け、腕を投げ出すような見事なカウンターが、ウィリアムスの顎に決まりました。

その瞬間、ウィリアムスの身体は糸が切れたマリオネットのように、キャンバスに沈み込みました。
一瞬にして意識を断ち切ったのでしょう、当たった直後全身が脱力しているのがわかります。

当たる瞬間を見てみると、ウィリアムスの視線はマルチネスの顔に向いています。
完全に意識の外からもらった一撃に、ウィリアムスは立ち上がることができませんでした。

試合を見返すと、マルチネスはこのパンチを何度も狙っていました。

ガードを下げてアッパーを打つウィリアムスの癖を見抜いて、この試合にむけて練習していたのでしょう。

マルチネスの雪辱が生んだ、衝撃的な失神の一撃でした。

フェルナンド・モンティエル vs ノニト・ドネア

続いては、2011年2月に行われたWBC・WBO世界バンタム級タイトルマッチ。
フェルナンド・モンティエル vs ノニト・ドネアの試合です。

WBCとWBOのベルトがかけられたこの試合は、WBC・WBO統一王者のモンティエルが元フライ級・スーパーフライ級の2階級制覇王者ドネアを挑戦者として迎え撃つ形となります。

モンティエルも元フライ級・スーパーフライ級を加えた3階級制覇王者で、ラスベガスで行われたビッグマッチでした。

ドネア優勢で終えた1Rの後、迎えた2R。ドネアの強烈な左フックが炸裂します。
左フックはドネアの代名詞とも言えるパンチで、あの井上尚弥選手のまぶたをカットし眼窩底骨折に追い込んだほどです。

モンティエルの右フックに合わせた完璧なドネアの左フック。全身を傾け体重を乗せたドネアのフックがモンティエルの右側頭部にドンピシャのタイミングでヒットしました。
そして、モンティエルは崩れ落ちます。
試合序盤2R、たった一発のパンチでモンティエルがキャンバスに沈んだのです。

目を見開いて痙攣するモンティエル。目の焦点が合わずによろめきます。
しかし、モンティエルは立ち上がり試合は続行。
すぐにドネアの追撃をくらい、レフェリーストップとなりました。

ドネアの左フックがヒットしたシーンをスローで見ると、ヒットした瞬間モンティエルの頭蓋骨が歪んでおり、かなりの衝撃だったことがわかります。
その後、痙攣し虚ろな目でふらつくモンティエル。この時点で試合を止められてもおかしくない様子でした。

モンティエルの右頬は目で見てわかるほどにへこみ、試合後、陥没骨折により整形手術が必要ということがわかりました。
しかし、脳に損傷はなく意外にも大きな怪我ではありませんでした。
事実、モンティエルは4ヶ月後に試合を行い、TKO勝利を収めています。

フィリピンの閃光が見せた、衝撃的な破壊力の一撃でした。

井上尚弥 vs ファン・カルロス・パヤノ

続いては2018年10月、WBSSバンタム級一回戦で行われた井上尚弥vsファン・カルロス・パヤノの試合です。

パヤノはアマチュアで400戦以上のキャリアを誇り、オリンピックに2度出場している20勝9KO1敗の元WBAバンタム級のスーパー王者です。
日本の山中選手と死闘を繰り広げ、世界タイトルを12度防衛したアンセルモ・モレノにも2度勝っている曲者です。しかし下馬評では井上選手圧倒的有利。
井上選手はどんな有名選手と戦う時でも有利の立場は動きません。

試合前パヤノ選手は「イノウエは今までのように上手くいくと思わないでほしい」と自信をのぞかせています。

井上選手は5ヶ月前、マクドネルを1R1分52秒TKOで下しており、この試合も『きっとすごいKO劇を見せてくれる』と多くのファンは期待していました。
そして、井上選手はその期待を超える一撃を見せてくれます。

試合が始まると、サウスポースタイルのパヤノに対して探るように、グローブをチョンチョンと合わせて様子を見る井上選手。
時折、ボディを放つパヤノ。お互いグローブを合わせながら、時計回りに円を書くようにリングをサークリングしていきます。

緊張の時間が続きますが70秒を過ぎた辺り、井上選手がグローブを合わせるタイミングをずらした瞬間、高速のワンツーがパヤノにヒット。
右にステップしたパヤノを追尾するように、身体を捻っての渾身の右ストレート。
怪物の一閃がパヤノの顎を貫くと、パヤノは後ろ向きに大の字にキャンバス倒れ込みます。

立ち上がろうとするも身体がいうことをきかないパヤノ、わずか70秒でのKOとなりました。
軽量級のボグサーが実質たった一発で相手を失神させたのです。
この負けはパヤノの8年のプロ・キャリアで初めてのKO負けとなりました。

この試合で井上選手はKOパンチとなったワンツーを打つまでに、自分の左のグローブをパヤノの右のグローブに、チョンチョンと合わせる行為を約50回ほどしています。
そして試合後には「50秒を過ぎたあたりで倒せると確信した」と語っているので、約1分の間に相手の全てを読みつくしてしまったのでしょう。凄まじいまでのボクシングセンスです。

井上選手は試合後

「絶対に当たると確信を持って左のジャブを打った。ジャブを出した瞬間に倒せるという直感が走った。暗闇で、標的にスポットライトを当てたかのような1本の光の道が見えた。
ピンポイントで照らされた的に向かって右のストレートを打ちこむ。そこからパヤノの顎を打ち砕くまで、ひとこまひとこまスローモーションのように時間が止まったのだ。」

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69139?page=3より

と語っています。
まさに天才にしかわからない境地なのでしょう。

世界中から注目されていたこの大会は、アメリカのテレビでも放送されましたが、解説陣は
「イノウエは世界中に衝撃を与えた」
「完璧なタイミングの右だった」とコメントしていました。

井上選手は、この年のリングマガジン、ノックアウト・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

この日、日本の天才が見せた直感は、伝説と呼ぶにふさわしい一撃でした。

ジュリアン・ジャクソン vs エロール・グラハム

続いては、衝撃的な展開の一撃を紹介します。

ジュリアン・ジャクソン vs エロール・グラハム。1990年11月に行われたWBC世界ミドル級王座決定戦です。

ジャクソンはこれに勝てば2階級制覇、グラハムは初の世界タイトル栄冠になります。

ジャクソンはジェラルド・マクラレンと並んで、歴代の中量級ハードパンチャー。
グラハムは長いリーチを生かしたアウトボクシングで、マッカラムを2-1の僅差まで追い込んだことがある実力者です。

試合が始まると、グラハムが軽快なステップとスウェーでジャクソンのパンチをかわし、一方的にパンチを当てていきます。
リーチを生かしたアウトボクシング、見事なヒットアンドアウェイです。

2Rにはグラハムがパンチを効かせラッシュをかけますが、仕留めきれず。
ジャクソンの強打は見切られ、ことごとく空を切ります。
ラウンド終了時、腫れ上がったジャクソンの左目にドクターチェックが入ります。

3R、グラハムの華麗なフットワークと機敏なスウェーに、ジャクソンはジャブですら当てることができません。
そして突っ込んで行ったところに、グラハムの下がりながらの左フックをカウンターでもらいます。

ラッシュをかけるグラハムですが、ジャクソンの強打を警戒してか深追いせず、またも仕留めきれません。

3R終了時、これまでのジャッジは全ラウンド、フルマークでグラハムが取っています。
腫れ上がったジャクソンの左目はふさがり、再びドクターチェックが入ります。
ここまで一方的な展開。ドクターストップとなってもおかしくない状況でした。
しかし、ドクターはもう1R様子を見ることとし、試合は続行。

4R、ここでKOできなければ次のラウンドでドクターストップの可能性があるジャクソンとしては、なんとしてでも倒したいところ。
しかし、ジャクソンのパワーパンチは空を切ります。

そして中盤、このままグラハムが試合を支配して勝つのかと思っていた矢先でした。
グラハムがジャクソンをコーナーに詰め、左のダブル、返しの右を打とうとした瞬間、眠っていたジャクソンの強打が火を吹いたのです。

グラハムがジャクソンの距離に入ったところに、ジャクソンの右が顎にクリーンヒット。
脱力したグラハムの身体はその場でキャンバスに崩れ落ちました。

失神したグラハムは動くことなく、眠ったままテンカウントを聞きました。

理不尽なほどの破壊力。
11分間、圧倒的に不利だったジャクソンは、1秒でそれをひっくり返したのです。

驚異のハードパンチャーが見せた、大逆転の一撃でした。

トーマス・ハーンズ vs ロベルト・デュラン

続いては”ラスベガス恐怖の一撃”と言われ、未だに語り草になっている一戦を紹介します。

トーマス・ハーンズvsロベルト・デュラン。
1984年6月にラスベガスで行われたこの試合は、WBCスーパーウェルター級のベルトがかけられたタイトルマッチです。

デュランは後に4階級制覇、ハーンズは後に史上初の5階級制覇と、両者ボクシング史に残る名チャンピオンで、歴史的なビッグマッチでした。

まだ、日が落ち切っていない屋外の特設会場には、ラスベガスの熱気とファンの期待が満ちていました。

試合が始まり、両者対峙しますが、ハーンズは身長185cm、リーチ 203cm、デュランは身長170cm、リーチ 168cmと、明らかに体格差があります。
ウェルター級からライトヘビー級(平坦なアクセントで)まで戦ったハーンズと、元々ライト級から階級を上げてきたデュランでは同じ体重でも、大きなリーチ差がありました。

1R、獲物を品定めするように長いリーチでフリッカージャブを放っていくハーンズ。
機敏なステップを生かして中に入っていきたいデュランですが、中々懐に飛び込めず、パンチを出しても届きません。

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ハーンズはボディジャブからのワンツーなど(5:29)デュランを少しづつ追い詰めます。
笑って余裕を見せるデュランですが攻め手がありません。

その直後でした。ハーンズのボディジャブからのワンツーがデュランの顔面を打ち抜きます。
よく見ていないと一発のパンチと見間違えてしまいそうな、高速のワンツー。

ボディジャブでデュランのガードが下がり、ダッキングして避けようとするデュランの顔を追尾するようなハーンズのチョッピングライト(右の打ち下ろし)。
デュランはこれまで82戦でKO負けはなく、ダウンは1度だけです。
デュランは立ち上がり、余裕を見せますが脚にきています。

試合が再開されると、待ち構えていたハーンズが猛攻をしかけます。
凄まじい勢いのラッシュです。(3:20)

たまらずダウンしたデュランですが、立ち上がりゴングに救われます。
かなりのダメージだったのでしょう。グローブタッチしコーナーに戻るデュランですが、自陣の位置を間違えてしまいます。

2Rが始まりグローブタッチする両者。(4:48)改めてそのリーチ差に驚きです。

素早い踏み込みでパンチが届くようになってきたデュランですが(5:05)、ハーンズのフリッカージャブ(5:15)に捕まると、再び集中砲火が始まります。

遠くにいればリーチの長いジャブが、接近すれば強打の雨嵐が飛んでくる状況にデュランは活路を見いだせません。
なんとか打ち返すデュランですが、ロープ際に詰められた直後、ハーンズがデュランの息の根を止めます。

必殺のチョッピングライトがデュランの顎を打ち抜きました。
その瞬間、バチンという生々しい音が大歓声の屋外ステージでもはっきりと聞こえるほど響きました。
そのシーンはまるで、死神が鎌で人間の意識を刈り取るようです。

デュランは両腕を下げ、力なく前のめりに崩れ落ちました。
意識朦朧でキャンバスに顔をつけるデュラン。すぐにデュランのセコンドが駆け寄り、ハーンズのTKO勝利となりました。

ファンはこの光景に震撼し、”ラスベガスの恐怖の一撃”と名付けました。

デュランは、ハーンズに当時唯一の黒星を付けたレナードに勝利し、後にハーンズを4RTKOで下したハグラーとも善戦を繰り広げるなど、中量級最強の一角でした。
そんなデュランがここまで一方的に滅多打ちにされたのは、後にも先にもハーンズだけです。

しかしデュランは、その後ハーンズを2度負かすことになるアイラン・バークレーに勝利するところがボクシングの面白いところです。

ハーンズが80年代に見せた、世界を震え上がらせた伝説の一撃でした。

マニー・パッキャオvsファン・マヌエル・マルケスⅣ

最後に紹介するのは2012年12月に行われた因縁の対決、マニー・パッキャオ vs ファン・マヌエル・マルケス(Ⅳ)です。

二人の戦いは2004年5月に始まり、今回の試合で4度目の対決です。
2戦目は当チャンネルの”バチバチの打ち合いをした最強王者たち”動画でも紹介した壮絶な打ち合いでした。

フェザー級の対戦で始まり、今回の試合はウェルター級と、長い年月、広い階級で対戦を繰り返してきたライバル2人です。
これまで2勝1分けとパッキャオが勝ち越していますが、いずれも判定ながら接戦の名ファイトを繰り広げてきました。

特に2011年に行われた3戦目は、2-0でパッキャオの判定勝ちでしたが、判定が告げられた瞬間会場からはブーイングが起こり、多くのボクシング関係者はマルケスの勝利を支持するなど、波紋を呼んだ試合でした。

そんな因縁の中、約1年後に行われたのがこの試合でした。

マルケスは前回のパッキャオ戦での敗北の後、セルゲイ・フェドチェンコに3-0の判定勝ちで4階級制覇を達成。
なおこの試合では、マルケスは「パッキャオと同じサウスポーの選手が相手でなければ駄目だ」と、パッキャオへのリベンジを見据えた試合を希望し、中々試合が決まらなかったそうです。

一方、パッキャオは前回の勝利の後、ティモシー・ブラッドリーと対戦し、2-1の判定で破れ防衛に失敗。
この判定は、”ボクシング史上最悪な判定の一つ”と呼ばれ、多くの議論を呼びました。

パッキャオは皮肉なことに、疑惑の判定で勝利した次の試合で、疑惑の判定で破れたのです。

この時、パッキャオは34歳、マルケスは39歳。
衰えからマルケス不利という声も多い中、前回の戦いぶりと勢いからマルケス有利の声も多い試合でした。

試合が始まると、メキシコの熱狂的マルケスファンが「マルケス」コールで後押しします。

両者、小刻みに身体を揺らしながら距離を取り、パッキャオは鋭い踏み込みからワンツーを放ち、マルケスはカウンターを狙います。

会場にはなおも「マルケス」コールの大声援が響き渡り、マルケスの雪辱を期待する空気感が漂います。

試合が動いたのは3Rでした。
パッキャオが細かいステップとパンチでマルケスを翻弄します。
しかし、両者間合いを見合う時間が続くと、突如マルケスのオーバーハンドの右が炸裂。
テンプルを弾かれたパッキャオはキャンバスに尻をつきます。

マルケスは右を打ち込むも、細かいステップを踏むパッキャオを攻めきれずゴング。

5Rには回復したパッキャオがジリジリとプレッシャーをかけ、左のカウンターでマルケスからダウンを奪います。
一瞬、手をついた軽いダウンでしたがまだラウンド中盤、パッキャオが仕留めにいきます。
しかし、マルケスがカウンターで応戦、パッキャオの猛攻を打ち合いでしのぎます。

ダウンの応酬、壮絶な打ち合い。
これまで二人の試合はどれも死闘でしたが、今回も同様の名ファイトです。
このラウンドが終わると、試合途中にも関わらず観客はスタンディングオベーションで二人を讃えます。
普通、4度も同じカードの試合をすれば飽きられるものですが、この二人は何度やっても盛り上がるのが面白いところです。

そして6R、ボクシング史に残る一撃が生まれます。
これまでのスコアは、1点差で3者ともパッキャオを支持しています。

マルケスは顔を腫らし流血、勢いに乗ったパッキャオが攻め込んできます。
満身創痍のマルケスに的確にパンチを打ち込んでいくパッキャオ。

6R残リ10秒、パッキャオのカウンターにぐらつくマルケス、7Rもこのままパッキャオが優位に進めるのだろうと思った瞬間でした。

踏み込んできたパッキャオに、マルケスが渾身の右を叩き込みます。
勢いそのままに、前のめりに倒れるパッキャオ。

ピクリとも動かないパッキャオにレフェリーはTKOを宣告しました。
36Rも戦ってきた二人の対決が、ついにKOで決着したのです。

観客は大興奮。会場は爆発したような歓声で埋め尽くされました。

失神して動かないパッキャオに、ジンキー夫人は取り乱しパッキャオの元に駆け寄ります。
喜びを爆発させるマルケスとは対照的に、一向に立ち上がらないパッキャオに泣き叫ぶジンキー夫人。

その様子が、この光景がいかに信じられないようなことかを物語っていました。

マルケスが、身体を左に寄せて放った見事なカウンター。
第2戦を見返してみると、右のカウンターを何度も合わせています。それがこの試合のKOに結び付いたように思います。

パッキャオのコーチ、フレディ・ローチは試合後
「パッキャオがマルケスの足を誤って踏んでしまい、マルケスが足を引き抜いたためパッキャオがバランスを崩し、マルケスの右ストレートをモロに喰らうタイミングになってしまった」
と語っています。

3年前、ハットンを一撃で失神させ世界を驚かせたパッキャオは、今度は自身の失神により世界を震撼させました。
こうして、接戦の判定負けで苦渋を味わってきたマルケスが雪辱の果たすとともに、二人のライバル関係は幕を下ろしたのでした。
戦績では1勝2敗1分けと負け越しているマルケスですが、パッキャオより劣っていると思う人はいないでしょう。

スーパースターの衝撃的な失神、二人の物語の幕引きにふさわしい一撃でした。

おわりに

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最後までご覧いただき誠にありがとうございます。

今回紹介した試合は、ボクシングでの伝説の一撃でしたが、今後キック・MMAでの伝説の一撃も紹介する予定です。
ぜひチャンネル登録してお待ちいただけると嬉しいです。

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