井上尚弥史上最大の敵フルトンとは!?徹底解説と試合予想!

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スティーブン・フルトン。WBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者、21戦21勝8KO無敗。
高いディフェンス力とテクニックを持った選手で、井上尚弥選手の次戦の相手であり、最大の敵と言われています。
今回はそんなフルトンがどのような選手なのか、その強さを解説しつつ井上選手との試合の予想をしていきます。

目次

井上尚弥次戦の相手、フルトンの解説と試合予想

生い立ち

1994年、フルトンはアメリカのペンシルベニア州フィラデルフィアに生を受けます。
フィラデルフィア南部の”忘れられた端っこ”と呼ばれる貧しい地域。夜には銃声が当たり前のように鳴り響く街で彼が産声を上げた時、父親はすでに刑務所におり残された母親の手ひとつで3人の姉妹とともに育てられたといいます。

フルトンは当時のことをこう語ります。

「自分が育った環境は暴力や犯罪がはびこっていた。だが、ボクシングに夢中になってそうした環境から離れることができたんだ。なにか事件があった時、もし自分がジムで練習していなかったら、もし試合で留守にしていなかったら、いつだってそんな事件の当事者になっていた可能性はあった。」

https://jfighters.com/fulton_unify/より

華麗なボクシングスタイルからは想像できない過酷な環境で育ったフルトン。
かつて、多くの選手が貧困や劣悪な環境からスターになったように、フルトンもまた自らの拳で人生を切り開いていった選手なのです。

プロボクシングでの経歴

12歳でボクシングを始めたフルトンは数年間アマチュアでの試合後、2014年にプロデビュー。
そして2021年1月、18戦全勝8KOの戦績と7人の無敗選手に初黒星与えた実績を引っ提げ、WBO世界スーパーバンタム級王者アンジェロ・レオに挑戦します。
アンジェロ・レオはメイウェザーの教え子で、彼もまた無敗でした。

試合が始まると、レオのインファイトの圧力に手を焼く展開になります。
しかし、次第にコンパクトなパンチを当てていくと、ディフェンシブなスタイルからインファイトで打ち合いにいきます。
本来打たせずに打つアウトボクシングのフルトンですが、インファイトでも正確なパンチを駆使し、引き出しの多さを見せます。

終わってみれば3-0の大差判定勝利でWBOの世界王座を獲得するとともに、無敗の王者に初黒星をつけたのでした。

そしてその8ヶ月後、次の相手はWBC世界スーパーバンタム級王者ブランドン・フィゲロア。
WBO・WBCの2団体統一戦、またも無敗同士の対決です。
フィゲロアは、日本の山中選手に勝ったことのある当時無敗のネリをレバーブローで沈めた実力者です。

試合が始まると序盤はアウトボクシングをするフルトンですが、被弾を気にしないフィゲロアの圧力に、頭を付けてインファイトに応じます。
試合は白熱した打ち合いに。手数のフィゲロアか、正確性のフルトンか。
判定は2-0でフルトンの辛勝。WBO・WBCの2団体統一王者となり、2本のベルトを無敗の王者から奪ってみせたのでした。

勝利者インタビューではフィゲロアが割り込み「みんな誰が勝ったかわかっている」と判定に不服を唱えるほど、フルトンが苦戦した試合となりました。

2022年6月には元WBA・IBF世界スーパーバンタム級王者ダニエル・ローマンと防衛戦を行います。
現WBA・IBF王者ムロジョン・アフマダリエフに王座を奪われるまでチャンピオンだった選手です。

試合はフルトンが距離を取りながら鋭いジャブやワンツーを打ち込み、相手が入ってきたらクリンチなど持ち前のディフェンス力を活かしたアウトボクシングをします。
下がりながらのカウンターなど的確に当てていったフルトンが3-0の大差判定勝利。
見事2団体防衛に成功しました。

21戦21勝8KO無敗。
KO率は高くありませんが、21勝のうち9人の無敗のボクサーを破ってきた選手です。

そして、次に防衛する相手がバンタムから上がってきた無敗の井上尚弥選手となります。

ファイトスタイル

フルトンのファイトスタイルは基本的には打たせずに打つアウトボクシングです。

顔を前に出したフィリーシェル(L字ガード)の構えで、機敏なバックステップ、鋭いジャブを多用し相手の射程圏内にとどまることを嫌います。
同じディフェンシブな選手でも、ポール・バトラーのようにブロッキング主体ではありません。

射程圏内の相手のパンチに対しては、ダッキングやスウェーなどの黒人特有の柔らかいボディワーク。
境遇もそうですが、ファイトスタイルもメイウェザーに似ている選手です。
近距離の場合、相手の腕をつかんでのクリンチワーク。

そして、驚くべきところは状況に応じてインファイトも辞さないところです。
普通アウトボクサーは相手の土俵であるインファイトは苦手ですが、フルトンはアウトボクサーであるにもかかわらずインファイトという引き出しがあります。

オフェンスは井上選手のように効かせるパンチを打つというより、的確にパンチを当て有効打を積み重ねてポイントアウトするタイプです。

フルトンの強みと弱点、それに対する展開予想

では、フルトンの強みと弱点は何があるのでしょうか。
自分なりに分析し、それに対する井上選手の対応を予想しました。
皆さんの分析もぜひコメント欄にて教えてください。

フルトンの強み

自分が考えたフルトンの強みは

フルトンの強み
  • クリンチワーク
  • ロープ際でのエスケープ
  • インファイトでの押し合い
  • 下がりながらのカウンター
  • 多彩なパンチ
  • 判定の戦い方に慣れている

です。

これらの特徴の多くは井上選手が今まで戦ってきた相手が持っていなかったものです。

クリンチワーク

フルトンはクリンチを非常に多用します。
相手が距離を詰めてきたとき、逆に自分から近づきクリンチで相手のパンチを防ぎます。
これはかなりやっかいで、相手としても当たる距離なのにパンチが出せずフラストレーションも溜まるでしょう。

しかし、井上選手にとってはある意味チャンスになると考えています。
バックステップが得意なフルトンですが、それ以上に得意なのが井上選手です。
常に前後の距離設定で最適な距離を保つ井上選手は、バックステップでまずクリンチをさせないのではないかと考えます。
そして、距離を作ってのボディ。これが決まればフルトンも次第にクリンチしづらくなると思います。

腕を掴んでくるフルトンですが、過去に井上選手は相手を押し、掴まれそうになった腕を引きながら回るようにステップして回避しています。

他にも離れ際の飛び込みフックなどクリンチ際をチャンスに変える要素はあると思います。

しかしながら、フルトンはこれまでの選手よりクリンチが上手く、体格も違うので同じように通用するとは限りません。
井上陣営も間違いなく対策はしてくると思うので、どんな対応を見せてくれるのか楽しみですね。

ロープ際でのエスケープ

バックステップで距離を取るフルトンはロープに詰められるシーンが多いです。
ですので、必然的にロープ際での攻防が多くなります。
そこでよく見られるのがロープ際でのエスケープです。
相手を引き付けてからサイドステップ、フェイントを交えてのサイドステップ、ボディワークを交えながら回避します。

これにはフック系のボディが最適解だと考えています。
ロープ際では当然後ろに下がれないので、横の動きで攻撃をかわす必要があります。
ですのでアッパーやストレート系の前後のパンチよりも、フック系のパンチ。
そしてフルトンはボディワークで顔を動かしているので当てやすいボディという選択になります。
現に、フルトンはロープ際に詰められた際、ボディフックの被弾が多く見受けられます。

ニエベス戦で決まったレバーブローのようなショットが見られれば最高ですね。

インファイトでの押し合い

フルトンがアウトボクサーでありながらインファイトもできる理由がこれにあると考えています。
フルトンはインファイトの際、頭を付けながら体重をかけ相手を後退させます。
この状態では当然、相手は強いパンチを打つことができなくなります。

過去、インファイトでも強さを見せてきた選手ですが、今回は初めてのスーパーバンタム。
パンチ力は井上選手に分があっても、押し合いでは体格差が顕著に出ます。
今回の試合で階級の壁があるとすれば、パンチが効かなくなることよりもこういった場面かもしれません。

井上選手の場合、そもそも頭を付けてのインファイトをしないと思いますし、フルトンが仕掛けてもバックステップでさせないと思いますが、過去に脚が攣ってインファイトせざるを得なくなったように、何らかのトラブルで脚を使えなくなった場合は危険と思います。
(階級を上げて減量苦が減った分、減量によるトラブルの可能性も減ると思いますが)

下がりながらのカウンター

フルトンは下がりながら、動きながらカウンターを打つのが得意な選手です。
基本的にはダウンを取れるようなパンチは打ちませんが、ときにビッグパンチも放ってくるので危険であることは間違いないでしょう。

しかし、井上選手が負けるほど被弾するかと問われると、答えはノーです。

井上選手自身「本当はディフェンスが一番得意」というように、パンチの読み、恐ろしいほどの瞬発力でパンチをかわすのが得意です。
それはパンチの打ち終わりであってもです。
そして、不用意に何発も打ちながら追いかけるタイプでもありません。
何発か当てられることはあっても、判定で負ける、あるいはKOされるほど被弾はしないと思います。

ただし、それは井上選手の心にすきがない場合です。
過去、井上選手は「スピードでかわせると思った」と油断してドネアの左フックをくらい、苛立っていたマクドネル戦ではノーガードでラッシュをかけ、カウンターを被弾していました。
時々ガードがおろそかになると言われている井上選手ですので、一瞬の気の緩みからビッグパンチを被弾しないとは限らないです。

しかしながら、今回は井上選手自身「過去最高のモチベーション」と言っているように最大の緊張感で挑むと思いますので、その心配は杞憂かもしれません。

多彩なパンチ

実はこれが一番やっかいなポイントかなと思っています。

フルトンは多彩なパンチを放つ選手です。
得意のジャブにしても、真っ直ぐなジャブや、斜め下から突き上げるようなフリッカージャブ、ボディジャブ。
ノーモーションの右ストレート、オーバーハンド。
コンパクトな左右のショートフック、チェックフック、高速のロングフック。
接近戦でのショートアッパー。

パンチの種類が多ければ、それだけ様々な軌道、角度で攻撃が飛んでくることになり、ディフェンス、カウンターの難易度が上がります。

ノーモーションの右ストレート、チェックフック、高速のロングフックはメイウェザーも得意としており、ファイトスタイルからもフルトンはかなりメイウェザーに影響を受けていると推測します。

井上選手はパンチを見切るのが得意で、いつも1~2Rで間合いを見切ることが多いですが、今回は時間がかかり慎重な戦いになるかもしれません。
ただ、見切ってしまえばジャブに右クロスを合わせていくのではないかと思います。

判定の戦い方に慣れている

戦績からもわかるようにフルトンは判定が多いです。
特に3回の世界戦を含む直近4戦はすべて判定です。

フルトンのファイトスタイルも倒すボクシングではなくポイントを取るスタイルで、今回の試合も判定勝利を狙いにくるでしょう。
一方、井上選手はほとんどがKO勝利。多くが序盤でKOしています。
長いラウンドの戦いとなった場合、経験値はどうしてもフルトンに分があります。

しかし、井上選手が判定負けするほど被弾する姿は想像できません。
タッチボクシングをされても、有効打では井上選手が上回るのではないでしょうか。
そして、フルトンがボディを効かされれば脚が使えなくなり、打たせずに打つ一方的なアウトボクシングは難しいと思います。

フルトンの弱点

そして、自分が考えるフルトンの弱点は

フルトンの弱点
  • ボディ
  • ディフェンスは得意だが超一流ではない
  • バックステップのスピードはさほどない
  • L字ガードだがショルダーブロックを使わない
  • 一撃のパワーはない

です。

ボディ

フルトンはボディの被弾がとても多いです。特にインファイト、ロープ際での被弾。

顔面への攻撃はステップやボディワークでかわしますが、ボディへのディフェンスは上手くないように思います。
特にボディを受ける時に身体(からだ)をひねり威力を受け流そうとしますが、肘を内側に巻き込むような形でブロッキングします。
このようなブロッキングは横にすきができ、井上選手が得意とする外から回り込むようなレバーブローが当たりやすいと思われます。
ここはかなり相性がいいと考えています。
しかし、当然フルトンも井上選手のレバーブローは警戒していると思うので、どういう対策でくるのか楽しみです。

ディフェンスは得意だが超一流ではない

ディフェンスが得意なフルトンですが、かつてのメイウェザーやウィティカー、全盛期のリゴンドーのような、当てることすら難しいアンタッチャブルなディフェンスの持ち主かというと違うと思います。

反応速度や瞬発力、間合いの上手さなど突出したものはなく、実際被弾シーンもそれほど珍しくありません。

バックステップのスピードはさほどない

バックステップを多用し距離を調整するフルトンですが、瞬間的なスピードはなく、上であげた選手たちのように出入りが多いわけではありませんし、リゴンドーやロマチェンコのように多彩なステップを持ってるわけではありません。

そして、バックステップは井上選手の方が得意としており、最大の武器と言っても過言ではないでしょう。
バックステップ、追い足ともに井上選手の方が速く、そこまで脅威ではないと思います。

L字ガードだがショルダーブロックを使わない

フィリーシェルとよばれるL字ガードの構えを多用するフルトンですが、メイウェザーのようにショルダーブロックをあまり使いません。
この構えは前手を下げるので当然、左側の顔面にすきができます。
しかし、肩を上げ身体を反らせることで、相手の右ストレート、右フックを滑らせていなすのがフィリーシェルの基本ですがフルトンは得意ではないのか、あまりしません。

メイウェザーはロープ際に詰められると、ショルダーブロックをしながら細かくカウンターを打ちますが、フルトンはダッキングやスウェー、クリンチ、両腕を上げてブロッキング、バックステップしながらカウンターをします。
その中で被弾するシーンも多く、井上選手のキレのあるパワーパンチが正確に決まればかなり効かされてしまうでしょう。

ブロッキング中も被弾があり、ブロッキングだけでいえばバトラーの方が上手いと思います。

ショルダーブロックがない分、右ストレートや右フックの被弾が多くなります。
距離とタイミングが合えば井上選手のオーバーハンドやストレートがヒットするのではないでしょうか。

一撃のパワーはない

フルトンは一撃で効かせるタイプではなく、コツコツ当てていって蓄積させるタイプです。
ビッグパンチをヒットしても、ダウンは取れないことが多いです。

格闘技において、終始どれだけ優位に進めていても、一発のパンチで試合をひっくり返されることがあります。
人間同士の戦いですので、どの選手にもそのリスクはつきものです。
しかし、対フルトンにおいてはその確率はかなり低いと思います。

試合予想

以上のことから井上選手がボディか右クロスでKO。
次点で大差判定勝利。
フルトンの判定勝利が9%、KO勝利が1%
と予想します。

この試合はボディが鍵になると考えています。
序盤は長身のボワイヨやマクドネルと戦ったときのように、ガードを高く上げプレッシャーをかけ、テンプルなど顔面に効かせてKOのパターンでも、ボディを効かせてからと想像します。

しかしながら、初のスーパーバンタム、今までに戦ったことのないタイプなど未知の要素が多くあり、これまでで最高に緊張感のある試合になることは間違いないです。

皆さんはどう予想しますか?
ぜひ、展開などをコメント欄からお聞かせください。

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