【解説】井上尚弥vsマーロン・タパレス戦考察!なぜ5Rで仕留められなかったのか

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先日行われたタパレス戦で4R終了直前にダウンを奪った井上選手。
5R始まると連続でパワーパンチを打ち込みパレスをふらつかせ、試合を終わらせにいったと思いましたが、途中から手が止まり仕留めきれませんでした。
打ち疲れたのか、タパレスのカウンターを警戒したのか、ガードを崩しきれないと感じたのか
試合後、井上選手はセコンドとこんなことを話していました。

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井上尚弥はなぜタパレスを5Rで仕留められなかったのか

「効いてはない?」
(井上)「いや一発効きました」
「左ストレート?」
(井上)「フックじゃないですかね」

と、明確に効かされたパンチがありそれはフックのようです。
この「フックじゃないですかね」
が左に限定しないのであれば、井上選手が猛攻を仕掛けていた5R、タパレスが井上選手のアッパーに合わせた右フックではないでしょうか。

ヒットした瞬間、井上選手が少し体制を崩しています。
そして、今まで脚を止めてインファイトで打ち込んでいましたが、これまで踏んでいなかったステップをして下がっています。
井上選手は向かって右に頭を下げるタパレスに対して、アッパーのカウンターをよく狙っていました。
しかし、タパレスはこれにフックのカウンターをよく狙っており危ないシーンが何度もありました。

アッパーの距離はタパレスにとってのフックの距離でもあります。
タパレスの反応やブロッキングなどのディフェンス力もそうですが、このカウンターによって井上選手がパンチを当てづらい、打ちづらい状況にしていたと思います。

そして井上選手は、同じサウスポーであるパヤノを仕留めた内側にねじ込むようなワンツーをよく放っていました。

そして井上選手は、同じサウスポーであるパヤノを仕留めた、内側にねじ込むようなワンツーをよく放っていました。
これに対しタパレスは、顔の前側をショルダーブロックで、奥側を奥手でガードし、後ろ重心で角度を付け、井上選手の右ストレートを何度もいなしていました。
これはフィリーシェルという、タパレスがとっていた構えでよく見られるディフェンスですが、同じフィリーシェルの使い手のフルトンよりも上手かったと思います。
前手側の顔は肩を上げ角度をつけることで肩でパンチを滑らせ、奥手側の顔は奥手でガード。
そして前手でボディの前側、奥手の肘で奥側をガードする構えで、使いこなせば隙のないガードができます。
そして内側にピボットすることで、井上選手の回り込んでくる右ストレートから距離を取ると同時に、威力を殺していました。

しかし井上選手も、これに対しタパレスの奥手を超えるような飛び込みロングフックを当てていました。
タパレスのように半身で後ろ重心、フィリーシェルのL字ガードを生かしたディフェンスは井上選手にとってかなりやりづらかったと思います。
さらにオーソドックス相手では構えが対になり潰しやすかった距離も、タパレスのようなサウスポーは互いの前足が正対し、余計に距離が遠くなります。

距離が遠く、パンチを入れるスペースが少ない、飛び込めばカウンターが待っているという状況をタパレスは上手く作っておいました。
戦前はフルトン戦のような技術戦よりも、倒すか倒されるかの攻撃的な戦いになるという予想が多くありましたが、蓋を開けてみればフルトン戦よりもハイレベルな技術戦だったと思います。

スタッツでは、井上選手が全体で401発のパンチを放ち、146発が着弾うちボディ39発。
対して、タパレスは310発のパンチで52発着弾うちボディ17発と、井上選手がヒット数で約3倍上回っています。

井上選手にしてみれば針に糸を通す作業を、いつカウンターが飛んでくるかわからない状況でやり続けるようなもので緊迫した戦いだったでしょう。
しかし、それでもガードの隙間からコツコツ当てていったり、ガードの上から効かせていき最後はKOで試合を終わらせました。
パンチのヒット率では圧倒し、苦戦という声もあったもののそれは井上選手の期待値の高さと、タパレスの過小評価という前提のものであって、内容や結果は井上選手の圧勝ですし、誰よりもタパレスを警戒し自己評価の低い井上選手にとっては想定内の勝利だったのでしょう。

試合翌日インタビューでは、解説に「大振り」と指摘されていた件について
「その中にもしっかりとした狙いがある。打ち終わりの返しだったり、逆にそれがプレッシャーになったり、やっている本人にしか分からない、小さい駆け引きがすごくあった。そこは楽しめた。」
と、大振りに見えたパンチも狙いがあったと明かしています。

井上選手が一発効かされたと言っていたタパレスのフック。
皆さんはどのシーンだと思いますか?
ぜひコメント欄にて教えていただけると嬉しいです。

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