格闘マンガや格闘ゲームを盛り上げる必殺技。
そんな中でも、今回は実際の格闘技において存在している必殺技を紹介します。
実在した漫画、ゲームの必殺技
ガゼルパンチ
ガゼルパンチはボクシング漫画”はじめの一歩”の主人公一歩がヴォルグ戦に向けて習得したパンチです。
下半身のバネを使い、飛び跳ねるようにしてフックとアッパーの中間のパンチを放つこの技はフロイド・パターソンが編み出したと言われています。
それでは実際のガゼルパンチを見ていきましょう。
ダッキングからガゼルのように高い瞬発力で一瞬で距離をつめてパンチを当てています。
漫画ではかなりアッパー寄りに描かれていますが、実際はフック寄りのパンチです。
50年代~60年代に活躍したパターソンですが、今見てもその瞬発力は凄まじいものがありますね。
また、一歩のモデルになったと言われるマイク・タイソンもガゼルパンチをよく使っていました。
遠い距離から一気に距離を詰めて放つパンチなのでカウンターのリスクがありますが、高い瞬発力がそれを無効にしていました。
パターソンもタイソンもヘビー級としては一歩のように小柄で、身長差を埋めるためにも理にかなったパンチです。
フリッカージャブ
フリッカージャブは、はじめの一歩のキャラ間柴了の代名詞となっている技です。
前手を下げたフィリーシェルと呼ばれる構えから、腕をムチのようにしならせて放たれるジャブです。
このジャブは間柴のモデルとなったトーマス・ハーンズが得意としていた技で、長いリーチや構えなどそっくりです。
漫画と同じく長いリーチから放たれるフリッカージャブに相手は近づけず、多くのボクサーがリングに沈まされました。
チョッピングライト
チョッピングライトはいわゆる右の打ち下ろしで、この技も間柴の必殺技です。
実際にもよく使われるパンチで、多くの場合が長身の選手が多用します。
このパンチもハーンズが得意としていて、鷹村守のモデルとなったロベルト・デュランを沈めたチョッピングライトは今でもファンの語り草になっています。
ドラゴンフィッシュブロー
ドラゴンフィッシュブローははじめの一歩のキャラ木村達哉が間柴戦で見せた必殺技です。
長身の相手の懐に潜り、孤を描くようなオーバーハンドで相手の顔面を狙うパンチです。
このパンチはジェームス・キンチェンがハーンズとの戦いで見せたパンチがモデルではといわれています。
身長とリーチで劣る相手にインファイトで孤を描くようなオーバーハンドを連発。
まさに漫画のシーンと重なります。
ドラゴンフィッシュブローでダウンを喫し、なりふり構わずクリンチを続けるハーンズ。
ハーンズは回復し、試合はキンチェンの判定負けとなりました。
あと一歩まで追い詰めながらも負けたストーリーも漫画と似ていますね。
ジョルト
この技ははじめの一歩のキャラ宮田一郎の必殺技で、全体重をかけ前かがみに放つカウンターです。
隙きができ、失敗すれば逆にダメージを負ってしまう反面、当たれば一撃必殺のこの技ですが、実際の試合でもこのカウンターで一撃KOとなったシーンがあります。
セルジオ・マルチネスがポール・ウィリアムス戦で見せたジョルトは、前重心の左で当たった瞬間にウィリアムスの意識を断ち切りました。
糸が切れたマリオネットのようにキャンバスに沈むウィリアムス。
まさに一撃必殺です。
ファン・マヌエル・マルケスがマニー・パッキャオとの4戦目に見せたジョルトは、パッキャオは前のめりに失神。
漫画のような一撃逆転KOを演じました。
スマッシュ
スマッシュははじめの一歩のキャラ千堂武士の必殺技で、スリークオーターから放たれるフックとアッパーの中間のパンチです。
実際にはドノバン・ラドックの代名詞として知られています。
千堂と同じハードパンチャーのラドックは得意のスマッシュで数々のファイターを葬ってきました。
井上尚弥選手も度々スマッシュを披露しています。
昇龍拳
昇龍拳は格闘ゲーム”ストリートファイター”シリーズのキャラ、リュウやケンの必殺技で、ジャンプしながらアッパーを放ち、回りながら着地する技です。
厳密にはこれに+して飛び膝も入る場合もあるようです。
実際には飛び膝は入っていませんがジョンリル・カシメロが度々使っています。
ゲームのような派手さはなく、飛び込んでのアッパーの勢いが余ったバージョンにも見えますが、両足が地面から離れているところ、空中で回転しているところなど昇龍拳といってもいいのではないでしょうか。
山下賢哉選手との試合では、昇龍拳で見事にKO勝ちを収めています。
コークスクリューブロー
コークスクリューブローは”あしたのジョー”や”リングにかけろ”、”はじめの一歩”など多くの漫画に出てくるメジャーな必殺技で、拳をひねり回転させながら当てるパンチです。
漫画ではしばしば回転により貫通力がアップしたように描写されますが、実際は貫通力というより、ひねることにより肩の力が入り威力が増す原理のようです。
畑山隆則選手は、ひねることで肩が入りリーチが伸びると説明していました。
実際にはキッド・マッコイが発案したと言われ、近代では神の左と言われた山中慎介選手のストレートがそれに近いです。
本人曰く、ストレートを放つ際に外へ体が泳ぐ癖を矯正するために体得したそうですが、インパクト間際で小指を上にしてひねりを加えているのがわかります。
クロスカウンター
クロスカウンターは相手のパンチに対して交差するようにパンチを当てるカウンターです。
この技も”あしたのジョー”や”ろくでなしブルース”、”はじめの一歩”など多くの漫画で扱われ、実際でもスタンダードな技です。
あしたのジョーでは相打ち前提として描かれていますが、基本的にはスリップで相手のパンチは避ける前提で放たれる技です。
多くの選手が披露しているこの技ですが、勇利アルバチャコフ選手がムアンチャイ・キティカセム戦で放ったお手本のようなクロスカウンターは芸術的でした。
ホワイトファング
ホワイトファングははじめの一歩のキャラ、ヴォルグ・ザンギエフの必殺技でアッパーと打ち下ろしを高速で繰り出すコンビネーションです。
実際には内山高志選手がデビュー戦の衝撃KOで見られました。
相手の左フックを仰け反り、貰いながらもアッパーからの強烈な打ち下ろしをヒット。
わずか30秒で相手をキャンバスに沈めました。
また、井上尚弥選手の初の世界タイトル戦でのフィニッシュブローもホワイトファングでした。
実際にはアッパーがかわされた後に追撃で打ち下ろしがヒットするパターンが多いようです。
デンプシーロール
デンプシーロールははじめの一歩の主人公、一歩の代名詞とも言える必殺技です。
左右に上体を振りながら連続で左右のフックを放つ技で、その名の通りジャック・デンプシーが使っていた技が元になっています。
漫画では身体が8の字(∞)を描いてフックを放っていきますが、実際はメトロノームのような軌道で放たれます。
当時このような前傾でパンチを打つ選手は珍しく、デンプシーはこのハードパンチでKOを量産していまいた。
デンプシー以外の選手でもラッシュをかけるときにしばし見られ、日本人では藤猛選手が一番最初に使ったとされています。
他にも内藤大助選手が、死闘と呼ばれた山口真吾選手との戦いでも披露しました。
11Rダウンを奪ってから身体を左右に揺らしながら全力の左右のフック。
数十秒間に渡って振り続けたフルスイング。まさに魂のデンプシーロールです。
はじめの一歩のCMでもデンプシーロールをする姿を披露していました。
長谷川穂積選手のラストファイトであるウーゴ・ルイス戦では、なんとデンプシーロールの打ち合いというシーンが見られました。
9Rパンチを効かせロープ際に追い込みデンプシーロールを仕掛けるウーゴ・ルイス。
これに長谷川選手はロープを背負いながらデンプシーロールで対抗。打ち負けたウーゴ・ルイスは後退を余儀なくされます。
凄まじい打ち合いに観客は大盛りあがりでした。
カエルパンチ
カエルパンチははじめの一歩のキャラ青木勝が使っていた技で、その名の通りカエルのように飛び跳ねながら放つパンチでカエル跳びパンチとも言います。
深くしゃがみ込むので隙きが大きく、実際ではあまり使う人はいませんが輪島功一選手が実践で使っていました。
輪島選手は青木のモデルとなったボクサーで、トリッキーで変則的なファイトスタイルです。
実際の映像を見てみると、かなり深くしゃがんだ状態から飛び跳ねているのがわかります。
ガゼルパンチのように飛び込みながらのフックを放つ選手は多くいますが、ここまでしゃがんだ状態からのパンチはかなり変則的でしょう。
よそ見
この技は試合中に大胆にも目線を横に外し、相手にもよそ見を誘う技で、”あっち向いてホイ”ともいわれていす。
これもはじめの一歩の青木が試合中にやっていた技ですが、これも輪島選手が実際の試合で使ってたと言われています。
輪島選手は
燕返し
はじめの一歩のキャラ真田一機の必殺技である燕返しは、拳を縦にしたアッパーで相手のガードをすり抜けてヒットさせることができる技です。
ガードの隙間からアッパーを当てるというのは実際でも珍しくなく、井上尚弥選手がリカルド・ロドリゲス戦で見せたアッパーは、ジャブで相手のガードを緩め、その隙間に拳を縦にしたアッパーを入れるという、まさに漫画で出ていた燕返しでした。
ブーメランフック
ブーメランフックは漫画”リングにかけろ”で登場した必殺技で、実際にはあり得ないパンチですが、ブーメランフックと名付けられたパンチは存在します。
レイ・セフォーが得意としていたオーバーハンドフックです。
ジェロム・レ・バンナ戦で放ったブーメランフックは一撃でバンナを失神させました。
トリケラトプス拳
漫画”刃牙”で登場するトリケラトプス拳は、動物の動作やスタイルを真似る「象形拳(しょうけいけん)」という中国拳法と、リアルシャドーを応用した技です。
実際には那須川天心選手が試合中にトリケラトプス拳の構えを披露したことがあります。
ただこれはパフォーマンス的に構えをしただけで、なにかトリケラトプス拳的な攻撃をしたわけではありません。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回紹介した必殺技以外にも、実際に存在する必殺技もあるかと思います。
是非コメント欄にて皆さんの知っている実際にあった漫画やゲームの必殺技を教えてください。
この動画が良かったら高評価を押して頂けると嬉しいです。
では、また次の動画でお会いしましょう。
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