2020年11月21日RTIIN25にて、朝倉未来vs斎藤裕、初代フェザー級タイトルマッチが行われました。
- 各ラウンド解説・考察
- なぜ朝倉未来は判定負けしたのか
リングイン
朝倉未来選手、斎藤裕選手ともに気負った様子はなく落ち着いた表情でした。
ラウンド1
朝倉未来選手がサウスポー、斎藤裕選手がオーソドックスの構えで試合は始まります。
初手は朝倉未来選手の右フックが空を切ります。朝倉未来選手がどっしりと構え、ジャブや細かいステップで距離を取る齋藤裕選手に対して、カウンターを狙いつつ左の蹴りで攻めます。
最初にヒットさせたのは齋藤裕選手。
バックしながらフックのカウンター。奇しくも朝倉未来選手が得意とするパターンです。
しかし、これは体重が乗っていなく大したダメージではありませんでした。
引き続き、朝倉未来選手がカウンターを狙いつつ出した左のインローが齋藤裕選手の下腹部に当たり試合は中断します。
休憩の後、無事試合は再開。両者フェイントを織り交ぜつつタイミングを見計らいます。
互いに危険な距離には入らず牽制しつつ攻撃する状態が続きます。
3分58秒、朝倉未来選手の右クロスカウンターが入りますが決定打にはならず。
4分10秒、齋藤裕選手がタックルに行きますが朝倉未来選手はこれを切ります。
4分35秒、朝倉未来選手の左フックのカウンターが齋藤裕選手の顔先をかすります。
少しふらついた齋藤裕選手がタックルに行きますが、これも切られます。
そのまま組み合い、朝倉未来選手が立ったままコーナーを背負う形でゴングがなります。
1ラウンドの個人的な印象
1ラウンドの印象は、前評判ほど朝倉未来選手と齋藤裕選手の打撃に差がなく(ディフェンス)
齋藤裕選手が反射神経よく朝倉未来選手のパンチが見えている様子でした。
逆に、朝倉未来選手は齋藤裕選手のリズムを崩せていない印象でした。
ラウンド2
2ラウンドに入ると、齋藤裕選手がアグレッシブに攻撃を仕掛けます。
ワンツーの連続。41秒にはガードされたものの、1ラウンドでは見せなかった右ハイキックを放ちます。
1分5秒では朝倉未来選手の左ローキックを掴み、タックルを仕掛けテイクダウンに成功。
バックを取ったものの、朝倉未来選手はすぐに立ち上がり、コーナーに移動し身体をコーナーに預け倒されるのを防ぎます。
この時、朝倉未来選手は反則であるロープを掴むという行為を、注意を受けながらもしていました。
そして、膠着状態になりブレイク。
その後、朝倉未来選手の右フックのカウンターが齋藤裕選手の頭をかすりぐらつくも、そのままタックル。
朝倉未来選手は先程と同じようにコーナーに身体を預けます。
しかし、この時もロープに腕を絡ませるという反則を行いました。
そして、膠着状態になりブレイク。
ブレイク後、朝倉未来選手は反則で警告を受けました。
4分10秒には齋藤裕選手の右フックのカウンターがテンプルにヒットしますが、大きなダメージはない様子。
その後、終了間際に朝倉未来選手の右フックのカウンターが入りますが、大きなダメージを与えることはできませんでした。
2ラウンドの個人的な印象
朝倉未来選手は、齋藤裕選手が立ちでスキがなく、攻めの糸口を見つけられていない印象でした。
一方。齋藤裕選手は朝倉未来選手からテイクダウンに成功。
さらにそこから朝倉未来選手がロープを掴む反則で警告を受け、朝倉未来選手はジャッジから印象を悪くしたと思います。
ラウンド3
最終3ラウンド目に入ってもこれまでと同じように2人は距離を取り合って、朝倉未来選手がカウンターを狙う形が続きます。
55秒では朝倉未来選手が「上手くなった。避けれない。」と自信を持っていた膝蹴りを放ちますがかわされます。
朝倉未来選手は右手のフェイントで誘い、カウンターを狙いますが齋藤裕選手は誘いに乗りません。
(右手のフェイントの誘ってからのカウンターは朝倉未来選手が得意とするパターン)*投稿予定の朝倉未来カウンター集動画で解説予定です。
1分55秒、試合は大きく動きます。
齋藤裕選手がタイミングのいい両足タックルで綺麗にテイクダウンに成功。
朝倉未来選手は身体をロープに預けます。朝倉未来選手はこの時、頭をロープの上に載せ、レフリーから修正されていました。
1分10秒間この状態が続きブレイク。
3分35秒、齋藤裕選手の右ミドルがヒット、それに合わせた朝倉未来選手の右フックのカウンターもヒット。
齋藤裕選手は効いたように見えましたが、スリップのようにも見えました。
4分53秒、朝倉未来選手の左ストレートのカウンターがヒット。
齋藤裕選手は大きくのけぞります。
齋藤裕選手はすぐに体勢を戻し、朝倉未来選手は詰め切れません。
ここから激しい打ち合いになります。
互いにいいパンチをヒットさせますが、朝倉未来選手の左ストレートのカウンターがヒットし齋藤裕選手の腰が落ちます。
しかし、齋藤裕選手はすぐに立ち上がり、体勢を整えます。
4分42秒、朝倉未来選手が片脚タックルをします。
しかし、テイクダウンは取れず片脚を持ったまま左フックを数発打ちます。
そして、齋藤裕選手をそのままロープ際に押し込む形で試合は終了します。
試合が終わった瞬間、朝倉未来選手は腕を上げ、笑顔で齋藤裕選手に話しかけ、勝利を確信しているように見えます。
試合後のインタビューでも、勝っていると思っていたようです。
3ラウンドの個人的な印象
試合後のインタービューでわかるのですが、2ラウンド終わった時点で朝倉未来選手はセコンドから、勝っていると伝えられていたそうです。
3ラウンドになっても朝倉未来選手が積極的ではなかったのはそのためだと思います。
1分55秒の齋藤裕選手のタックルが綺麗に決まったのは判定に大きく影響したと思います。
逆に、朝倉未来選手のロープを使った攻防は判定に悪い印象を残したと思います。
朝倉未来選手は終始カウンターを狙っていましたが、齋藤裕選手のスキが少なく決めきれなかった印象です。
タックルへのヒザのカウンターは朝倉未来選手が得意としているパターンですが、齋藤裕選手には綺麗に取られてしまいました。
しかしながら、打撃の技術は朝倉未来選手のほうが上で、有効打やダメージでは朝倉未来選手が優位だったと思います。
判定結果
3-0で齋藤裕選手の勝利。
その瞬間、勝利を確信していた朝倉未来選手は動揺した様子で、信じられないというような表情でした。
なぜ朝倉未来は判定負けだったのか
試合を終えた時点でのダメージは顔からわかるように齋藤裕選手の方が大きいです。
実際試合後、右目の眼窩底骨折と鼻骨骨折の疑いにより病院へ直行していました。
有効打も朝倉未来選手の方が多く、ぐらつくシーンも齋藤裕選手には何度か見られましたが、朝倉未来選手には見られませんでした。
では、なぜ朝倉未来選手は判定負けになったのでしょうか。
- 朝倉未来選手のロープ際での違反
- 齋藤裕選手の綺麗なテイクダウン
- 齋藤裕選手のダウンからの立ち直りの早さ
- ハードルを上げすぎた朝倉未来選手
朝倉未来選手のロープ際での違反
前途した通り朝倉未来選手は齋藤裕選手からテイクダウンを取られた後、何度かロープを掴み警告が与えられました。
これは言い換えると、
- ロープを掴まなかったら齋藤裕選手がもっと優位にコントロールできた
- 違反をするほど朝倉未来選手が追い詰められたいた
とも言えます。
これはRIZINの採点法である、ラウンドごとではなく試合全体を採点するという評価法においては特に悪い影響になったと思います。
齋藤裕選手の綺麗なテイクダウン
3ラウンド1分55秒、齋藤裕選手は両脚タックルを綺麗に成功させます。
他にもテイクダウンを取り、総合格闘技において試合をコントロールしていたと言えます。
朝倉未来選手といえば、タックルを切ったり、タックルにヒザのカウンターを合わせるのが上手いことで有名です。
その朝倉未来選手が綺麗にタックルを決められたのは、大きなインパクトだと言えると思います。
齋藤裕選手のダウンからの立ち直りの早さ
齋藤裕選手は何度か朝倉未来選手からいいパンチをもらい、腰が落ちたり、体勢を崩しました。
しかし、その後すぐに立ち直り、反撃の体勢を整えました。
これにより、齋藤裕選手へのダメージは実際より少ないとアピールできたと思います。
ハードルを上げすぎた朝倉未来選手
朝倉未来選手は会見や自身のチャンネルの動画で、「相手にならない。自分とはかなりレベルが違う。」という旨の発言をしていました。
また、世間の評価でも打撃の実力や下馬評では朝倉未来選手が優位でした。
しかし、試合が始まってみると打撃の差はそこまで大きくなく、試合は拮抗。
タックルを切るのが得意な朝倉未来選手が綺麗にタックルを取られました。
これは事前のイメージがない選手同士よりも、より印象が強まったと思います。
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